高齢者は免疫機能が若い人よりも低下しているため、感染症にかかりやすく、また重症化のリスクも高いです。
では、そもそも免疫機能とはどういったものでしょうか。
簡単に言えば、細菌やウイルスなどの異物から自分の体を守る仕組みのことを言います。
免疫には二つの種類があり、自然免疫と獲得免疫が存在します。
自然免疫は、白血球などの免疫にかかわる細胞の働きによって成り立っている免疫機能です。
体に侵入したウイルスなどの異物を、取り除くことで体を守ります。
一方、獲得免疫は病原菌の抗原を体内に取り込み、その特定の病原菌に合わせた「武器」を作り攻撃する免疫機能です。
獲得免疫の特徴として、その「武器」の設計図を特定の細胞が記憶しておくことで、次にまた同じ病原菌が侵入してきたときには、素早く攻撃できるようになるのです。
予防接種(ワクチン)は獲得免疫による機能を活用したもので、毒性を弱めた抗原をあらかじめ体内に入れて抗体を記憶させておきます。
そうすることで、その病原菌が実際に体に侵入してきても発症する前に排除することが可能になるのです。
ただし、この免疫機能も加齢ととともに衰えていき、60代の高齢者と20代の若い人を比べた際に、高齢者の免疫機能は若い人の半分以下になります。
若い人であれば簡単に治るような病気でも回復まで長引いたり、他の病気を合併してしまったりということも起こりえます。
高齢者の方は免疫機能が衰えていることを認識し、日頃から感染症予防に努めることが大切なのです。